医療漢方外来

※自由診療・医療漢方外来は完全予約制となります。

不妊治療に対する漢方療法

心身のバランスを整え妊娠・出産に向けての体の土台作りが漢方の役割

こんな人にオススメ!
  • 妊娠に向けて体調を整えたい
  • 昔から生理不順
  • 冷え性
  • 不妊の原因がわからない 等

当てはまるという人は漢方療法をぜひお試しください。
漢方治療で体調を整えたり生理不順を改善するだけで自然に妊娠してしまう人が少なくありません。

不妊治療に対する漢方療法

漢方医学=本来持つ働きを回復

漢方医学は生理不順などの症状だけではなく、全身の状態を細かく診察していき現れている症状の原因を改善することを目標とします。そうすると現代医学でいう血液循環・自律神経・内臓機能・ホルモン分泌・精神状態など全身の機能がスムーズ働くように調整することができます。したがって全身状態が良くなることで生理不順や冷え性が改善し自然妊娠にいたるケースが多いのです。

漢方薬は様々な働きの生薬の組み合わせ

生薬の組み合わせ

漢方薬に使用される生薬には植物が多く用いられます。植物は自ら動くことができない為、栄養を効率よく蓄えるため、動物・病原菌・温度や日差しなど外敵から身を守るため、また繁殖に必要な虫を呼び寄せるために味・色・香りなど様々な成分を作り出し長い年月を生き残ってきました。
その作用を経験的に利用しているのが生薬です。
漢方薬はその生薬を組み合わせることにより、複合的に調和のとれた効果を生み出しているのです。

月経不順

女性にとって月経は子宮の状態を正常に保つためになくてはならないものですが、毎月大切な「血」を失う原因でもあります。ただでさえ消耗の原因があるのにも関わらず不規則な生活やダイエット、ストレスなどで負担をかけてしまうと、身体は月経を止め体を守ろうとします。このような体のサインに気づかずにホルモン剤で強制的に月経を起こせば更なる消耗を招いてしまいます。

芍薬

漢方医学において月経は生殖機能と関係の深い「腎」、気・血と関係の深い「肝」・「脾」という臓と妊娠・出産と関係の深い「任脈」・「衝脈」という経絡とがうまく調和することで月経が起こるとされています。先に説明した消耗はこの調和を乱している状態なのです。この原因に対する治療ができるのが現代医学にはない大きな強みと言えます。このように漢方治療により本来持つ生理機能である月経を正常に回復させることができるのです。

漢方薬のホルモン調整作用

漢方の古典である『金匱要略』婦人雑病脈証篇の『温経湯』という処方の条文には、「亦主婦人少腹寒えて、久しく受胎せざるを主る」(女性で下腹部の辺りが冷えてなかなか妊娠しない症状に使うとよい)とあり約2千年前から不妊症の治療に漢方薬が使われていたことがわかります。近年では漢方薬の服用によりゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の分泌改善効果が報告されていて無理なダイエットなどによる月経不順や無月経、排卵障害なども回復させることが明らかになっています。女性ホルモンに対する漢方薬の効果の素晴らしい点は自然の周期に回復させることです。例えば多嚢胞卵巣は黄体形成ホルモン(LH)値が高くなりバランスが崩れている状態ですが、漢方薬の服用により他のホルモン分泌にはあまり変化はなくLH値が下がり本来の値に改善されることが報告されています。

医療用の漢方エキス剤での『温経湯』の薬理作用
http://www.tsumura.co.jp/medical/products/106/pdf/products-pdf-01.pdf

不妊に効くと友人に勧められた漢方は飲んでもいいの?

一般的に不妊治療のファーストチョイスと言われているのは『温経湯』
「経」を温めるという名前も持つこの処方ですが「経」とは漢方医学でいう気血の流れる通り道のことです。月経にも「経」が使われているように滞りなく流れるのが良い状態といえます。この「経」を温め、消耗してしまった気血を補いめぐりを良くしてくれる『温経湯』は不妊症だけでなく生理不順、更年期障害など様々な婦人科疾患に効果のある代表的な漢方薬と言えます。
しかし同じ不妊治療で飲んでも効果の出る人と出ない人がいます。
この違いは何でしょう??

  1. 冷えが強いAさんの場合
    温経湯では力不足といえます。附子(ブシ)などの温める作用が強い生薬が必要です。

    附子(ぶし)附子(ぶし)

  2. 生理痛が強いBさんの場合
    血行不良があり温経湯だけでは不十分です。紅花(こうか)、サフランなど駆瘀血作用(血流改善効果)が強い生薬が必要です。

    サフランサフラン

  3. 生理不順とストレスが強いCさんの場合
    ストレスによる自律神経・ホルモンバランスの乱れが考えられます。漢方でいう気滞(きたい)という症状です。柴胡(さいこ)など溜まったイライラを流して気の流れをスムーズにする生薬が必要となります。

    柴胡(さいこ)柴胡(さいこ)

この3例ようにたとえ同じ治療目的であっても、人それぞれ体質も環境も違いますので、既成の漢方薬ではすべての人に対応することは難しく個人に合わせた処方が必要なことがお分かりになると思います。
かがやきクリニックでは健康保険では扱えないのもの含め、品質を吟味した生薬を数多く取りそろえており、お一人お一人の体調や症状に合わせた細やかな対応が可能です。個人に合わせた漢方薬の方が症状の改善への早道と言えます。

不妊症と冷え性

漢方では冷え症は色々な病気を引き起こすとされています。冷えにより血流障害だけでなく胃腸の働きも低下し消化吸収が不十分になり、特に女性は月経不順や月経困難症などトラブルが起こりやすくなります。婦人科系のトラブルに処方される漢方薬には体を温め血流をよくするものが多く、冷え性が改善されたことで妊娠できた症例も多くあります。

症例1)39歳、女性

【現病歴】結婚して5年たつが子供ができず産婦人科で不妊治療中であった。排卵誘発剤を投与されたところ、ひどいめまいと頭痛が出現し日常生活にも支障をきたし一旦不妊治療を中止し漢方外来へ受診

【臨床経過】手足の冷えがひどく、気血のめぐりが悪いとの診断。当帰四逆加呉茱萸生姜湯の処方と頭痛時に頓服として呉茱萸湯を処方。服用して2日で頭痛とめまいが消失。その後も漢方薬を継続し1年後に自然妊娠、自然分娩した。

症例2)30歳、女性

【現病歴】月経異常はなく、妊娠希望。職場の冷房が苦手で手足の冷えを訴えていた。倦怠感のため、家事もなかなかこなせず時間を取られてしまうので、会社と家の往復で精一杯で仕事をやめようか悩んでいた。

【臨床経過】主な原因として腎虚(※)と診断。八味地黄丸を服用したところ、手足が温まり、元気が出てきて帰宅後も夫と一緒にウォーキングができるようになった。服用して3か月で自然妊娠し元気な男の子をを出産した。

※腎とは漢方医学的に生命力や生殖機能に深い関係があるとされる臓器で西洋医学的な腎臓と同じではない。腎虚とはその腎の機能が弱まった状態。
症例:小川恵子『女性の漢方』(中外医学社)pp.14-15

不妊治療への漢方アドバイス

不妊治療への漢方アドバイス

不妊治療をすでに受けている方も今から始めるという方もどの段階でも始められ、並行して治療が可能です(※) 。治療においては漢方薬を飲むだけではなく以下のような生活習慣の改善を心がけることで漢方薬の効果が十分に発揮されやすくなります。

※不妊治療での主治医の治療方針により異なりますので必ず事前に主治医の確認了承を得て下さい。

生活指導の一例

夜更かしを控え十分な睡眠をとる
大豆製品、赤身の肉、魚など良質なたんぱく質をしっかり摂る
運動や鍼灸などでストレスの発散と気血のめぐりを良くする

代表的な処方例

桂枝茯苓丸・当帰芍薬散 など
活血作用(血流改善効果)があり、月経期は不要な経血をスムーズに排泄し子宮をきれいにし、排卵期には血液循環を促し排卵をスムーズにします。

六味地黄丸
生殖機能のアンチエイジング効果、補陰作用(各臓器を補い潤いを与える作用)により子宮内膜増殖作用と卵胞の成熟を助けます。

八味地黄丸
生殖機能のアンチエイジング効果、補陽作用(体を温め根本の生命力を補う生殖機能賦活作用)により受精卵の着床と妊娠の継続を助けます。

男性不妊

不妊症は女性のものだけではありません。男性に原因がある場合が約半数と言われています。治療への参加に躊躇したり、周りへの相談がしにくいなど男性不妊ならではの悩みもあります。

男性不妊の主な悩み

・女性ばかりの婦人科に一緒に行くのは躊躇してしまう
・仕事が忙しくてなかなか受診できない
・妻に任せきりでなく自分も協力したい
・周りに相談できない

過労や精神的ストレスが大きく関わっている場合も少なくはありません。例えば、仕事で残業が続いて疲れている、職場ストレスが多い、妻からは子供が欲しいとプレッシャーを感じる、日頃から疲れやすく性欲がわかない、食欲がないなどの症状は漢方では「虚労(きょろう)」(心身ともに衰え弱っている状態)として体力を補い根本の生命力を回復するための治療をしていきます。そして漢方の特徴的で重要なことは同じ環境で生活する夫婦同時に治療をするということです。

男性不妊に対する代表的な処方例

桂枝加竜骨牡蛎湯
疲れやすい人、過労やストレス、不規則な食生活などにより体力消耗している人の勃起障害(ED)・多汗症・不眠症・円形脱毛症などに主に用いられます。

柴胡加竜骨牡蛎湯
イライラ・緊張など精神症状が強い人の勃起障害(ED)に用いられます。ドキドキ胸苦しさや憂うつ感、不眠、神経症、更年期障害などにも効果があるとされます。

補中益気湯
胃腸機能が衰え、全身倦怠感、食欲不振、日中の眠気、寝汗などの症状がある人の勃起障害に用いられます。体力増強をはかり、全身状態を改善する効果があります。

八味地黄丸・六味地黄丸
女性の不妊症でも紹介しましたが、男女ともに「腎虚」(根本の生命力の消耗、生殖能力の衰えた状態)を回復する効果があり男女とも不妊症に用いられます。

二人目不妊

悩んでいる方が意外に多いのが「二人目不妊」です。一人目はすぐにできたのに二人目がなかなかできないという場合があります。

二人目不妊の原因

・一人目の出産時(帝王切開など)の影響
・一人目の妊娠時・産後の体調管理が不十分
・年齢が上がったことによるホルモンや生殖機能の変化(夫婦共通)
・育児や仕事のストレス
・育児に追われ不規則な食生活・睡眠不足
・夫婦生活の減少
・両親、義両親、親戚など周りからのプレッシャー

機能性不妊症(不妊検査をしても原因がわからないこと)が多く一般的な不妊治療をしても妊娠しないことが多いです。一人目の育児ストレス、ママ友との関係、不妊治療通院時の一時保育の問題や育児費用と治療費のダブル負担など二人目不妊ならではの悩みもでてきます。様々な要因、特に精神的なストレスによって女性ホルモンは影響を受けやすくバランスを崩し、卵巣や子宮の働きを低下させる原因となります。漢方は「心身一如(しんしんいちにょ)」(心と身体は一体である)という考えのもと、ストレスなど目に見えない心の問題により身体に現れたトラブルを心も含めて治療ができる医学です。心身ともに健やかな状態にすることが妊娠への近道になると言えます。

妊娠中の漢方

妊娠は病気ではないと言われますが、漢方の古典である『金匱要略』には婦人妊娠病脈証篇という項目があり妊娠においてのトラブルや安胎のための処方が記載されています。
「婦人懐妊し腹中㽲痛するは当帰芍薬散之を主る」(妊娠中にお腹がシクシクと痛む症状に当帰芍薬散を用いる)と記載があります。また、「婦人妊娠、常に服する宜し、当帰散之を主る」(妊娠したら常に当帰散を服用するのが良い)とあり安胎の目的でも漢方薬が飲まれていたのがわかります。平安時代に書かれた日本最古の医学書にも図のように月数ごとに赤ちゃんの生育状態と養生法が書かれています。
漢方医学的には妊娠すると胎児の生育のために母体は陰血(身体を養い潤すもの)不足になります。そしてお腹の胎児を守るため、本来は身体の表面で外邪(病気の原因)の侵入を防御している衛気(体を守るバリア)の働きがおろそかになり体調を崩しやすくなります。悪阻(つわり)・便秘・浮腫み・腰痛・お腹の張りなど妊娠によって生じた症状の改善、母体の体調維持管理、だけでなく安胎の目的にも様々な漢方処方があります。
最近では漢方薬の効果の認知度が高まり漢方専門でない産婦人科でも妊婦さんの悪阻(つわり)に『小半夏加茯苓湯』、浮腫みに『五苓散』、切迫早産に『柴苓湯』などというように対処療法として医療用漢方薬が多く用いられるようになりました。

妊娠中にとりたい生薬

当帰(とうき)
セリ科の植物の根、日本では奈良産が良品とされます。
血を補い気血の流れを促し痛みを止める働きがあり、月経不順・月経痛・産前産後の様々な症状に主薬として用いられる婦人科のエキスパートといえます。
昔から当帰は安胎の目的で妊娠中に服用することで羊水の量や質が整い元気な赤ちゃんが産まれるといわれています。

当帰(とうき)

妊娠中に薬剤を投与する場合の一般的な注意

漢方薬とはいえ薬ですので、妊娠中に飲んでもいいの?と思われる方も少なくないと思います。一般的な医薬品と漢方薬の使用においては以下のような記載があります。
「薬剤はできる限り単剤を必要量投与し、効果が得られたら中止する。薬剤によって胎児に影響を及ぼす時期や内容は異なる。(中略)漢方薬では妊婦に慎重に投与するように添付文書に記載があるが、催奇形性のものではなく、催奇形性を認めた報告もない。」
東京産婦人科医会臨床メモNo.1「妊婦への薬剤処方の考え方と実際」('95,9月刊)より

妊娠中に注意すべき生薬

漢方薬に催奇形性が報告されていないといっても全て安心とは言えません。不妊治療には必要で効果の高い処方でも妊娠時に影響する可能性がある生薬が含まれる可能性があります。例えば、血流改善効果の高い、桃仁・牡丹皮・紅花・牛膝などは流産などの危険性、また、大黄・芒硝などの下剤は子宮収縮作用があります。
勝手な判断での服用は避け医師の診断指導のもと適切な漢方薬を服用することをおすすめします。

産後の漢方

辛い陣痛、出産をやっと乗り越えたと思えばと休む間もなく育児の日々が待っています。全身の倦怠感、微熱など風邪に似た症状、筋肉痛や腱鞘炎、精神的不安定などこの時期に体調を崩す人も多いです。しかしここで無理をしてしまうと体調不良が長引いたりさらに悪化する原因にもなります。元気に育児をする為にも無理をせずにきちんと体調を整えることが必要不可欠です。
漢方の古典である『金匱要略』婦人産後病脈証篇に出産直後に起こりやすいトラブルとして「痙病」、「鬱冒」、「大便難」の3つがあげられています。痙病とは筋肉の痙攣(けいれん)、鬱冒(うつぼう)とはうつ状態、大便難とは便秘のことで、大昔も現代も産後の不調はあまり変わらないということです。
なぜなら原因は出産により大量に「血」(通常、血液のように臓器や筋肉などに栄養を送り補い、潤すもの)失うことによって起こる症状だからです。妊娠中に足がつったり便秘になるのもお腹の赤ちゃんに「血」を送るため母体の「血」が不足している為ですから、妊娠中にこのような症状がある人は「血」の不足が起こりやすく産後も特に注意が必要です。

産後の代表的な漢方薬

芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)
産後の衰弱、貧血、出血過多、悪露(子宮や産道が妊娠前の状態に戻るときに排出される分泌物)の停滞、発熱、めまいなど産後の諸症状を改善する処方です。

産後の滋養と抜け毛、肌荒れにとりたい生薬

産後の漢方について

阿膠(あきょう)
ロバ、ウシの皮を水で煮てとれるにかわ(ゼラチン)コラーゲン、アミノ酸が豊富で、血を補い潤いを与え出血を止める働きがあります。
出血過多、貧血、肌荒れなど産後だけでなく使用でき女性の強い味方といえます。