医療漢方外来

※自由診療・医療漢方外来は完全予約制となります。

慢性腎不全に対する漢方療法

慢性腎不全の原因として現代医学的には慢性糸球体腎炎、糖尿病、高血圧など様々な要因ががあげられます。現代医学でも治療が難しいとされる慢性腎不全ですが、京都の江部医院院長・故江部洋一郎先生により考案された『養腎降濁湯(ようじんこうだくとう)』という処方により腎機能が改善した症例が報告されました。江部先生は、傷寒雑病論から「経方医学」を提唱され、その考え方に基づいて養腎降濁湯を考案されました。
医学的に、人体では、腎臓は余分な水分を取り除き、老廃物を排出するために、尿を生成します。

  • 晋耆(しんぎ)
  • 芍薬(しゃくやく)
  • 土茯苓(どぶくりょう)
  • 萆薢(ひかい)
  • 丹参(たんじん)
  • 半夏(はんげ)
  • 栝楼仁(かろにん)
  • 甘草(かんぞう)
  • 茯苓(ぶくりょう)
  • 白花蛇舌草(びゃっかだぜっそう)など

以上のような生薬が主に使われます。全身の状態、その他の症状、病態によって処方の量やその他の生薬を加え調節していきます。

血中のクレアチニン値を下げる効果

服用開始1ヶ月で改善が見られた報告がありますが、血中クレアチニン値が高いほど効果発現に時間がかかります。また、クレアチニン値が2以上の場合には悪化を防ぎますが、改善には至らない場合もあります

全身状態・顔色が改善する

全身倦怠感、食欲低下、吐き気、むくみなどの全身状態が改善し元気になるだけでなく、腎疾患特有の皮膚が黒っぽくなる状態が改善されるとの報告があります。
但し、進行が急速な場合、クレアチニン値が高値の場合など難しい場合もあります。

カリウムについて

漢方薬は植物由来のものが多く、カリウムが含まれているものもあります。しかし服用すると血中のカリウムが高くなるということはありません。慢性腎不全の場合、血中のカリウム値が高くなる傾向にあります。養腎降濁湯に含まれる「甘草」は腎を保護する作用と用量依存的に血清カリウム値を下げる働きも報告されていますが、検査値に基づいて量の調節が必要です。

「黄耆(おうぎ)」と「晋耆(しんぎ)」
黄耆(おうぎ) 医療保険内生薬

黄耆(おうぎ)
医療保険内生薬

晋耆(しんぎ) 医療保険外生薬

晋耆(しんぎ)
医療保険外生薬

元の植物は異なりますが、どちらも同じ用途で使用される生薬です。補気(体のエネルギーを補う働き)薬の代表として知られている生薬で慢性腎不全の際に上昇する血清クレアチニン値を低下させる働きがあるため『養腎降濁湯』にも必要不可欠です。医療保険内の処方で多く使われる「黄耆(おうぎ)」はアレルギーを起こす人がおり特に腎不全の方ではその確率があがるといわれています。その代用として「晋耆(しんぎ)」が使用されます。黄耆に比べアレルギーの報告も少なく効果が優れているとされていますが、医療保険外の生薬で値段も高価な為、保険医療機関では処方することができません。

クレメジンなどの吸着剤を服用中の方

西洋薬と同様に漢方薬も一緒に服用すると吸着剤の効果で漢方薬の効果が現れない為、クレメジンなどの服用時間を変更もしくは服用を中止する必要がありますので腎疾患の主治医の確認了承が必要となります。
『養腎降濁湯』に関する詳しい症例報告や論文内容を紹介しているサイトはこちら
「患者さんのための漢方医学」:https://p-kampo.gto.ac.jp/archives/16

先ほど紹介した「晋耆」の他にも『養腎降濁湯』にはその効果に重要な役割をする以下の生薬も医療保険外の生薬が含まれます。

  • 「萆薢(ひかい)」身体の過剰な水分(湿)の排出を促し「濁毒」を排出する
  • 「白花蛇舌草(びゃっかだぜっそう)」解毒・過剰な水分の排出を促す

自由診療の医療機関だからこそできる処方といえます。
上記の処方は医療保険では適応外の生薬が含まれています。したがって、一般的な保険医療機関では保険内で処方してもらうことはできません。薬局製剤という厚生労働省で認められた薬局で製造できる処方にも含まれないため漢方相談薬局でもらうこともできません。

慢性腎不全は現在の医療では不可逆性(元の正常な状態に回復しない)とされ、そのほとんどが末期腎不全に進行してしまいます。しかし適切な治療によって末期腎不全(透析・移植が必要な状態)にいたる時期を遅らせることが可能な場合があります。漢方薬による治療でも同じことが言え、治療は長期戦になります。長く飲み続けるにあたっていくら効果があっても毎日煎じ薬を作る時間は生活の負担になりかねません。しかも紹介した『養腎降濁湯』は使用する生薬の量が多く煎じた後の生薬カスもたくさん出てしまいます。
かがやきクリニックではIPCD法という抽出効率の良い簡易抽出法に対応した漢方薬の提供が可能です。毎日30~40分かかる煎じ時間がわずか5分弱になり、煎じる時に出る大量の生薬カスも大さじ1杯程度(1回分あたり)に減ります。お茶を入れる感覚で毎日無理なく続けることが可能になります。

IPCD法
左:2週間分の例(普通量目安)、右:IPCD法(簡易抽出法)対応の同処方
詳しい服用方法は⇒「簡単な煎じ薬(IPCD法)」

そして最も重要なのが検査データなど医学的な診断に基づく経過を見ながら、処方量の調節をすることが必要な為、漢方専門医とかかりつけの腎臓専門医との連携が必要であるということです。

かがやきクリニックの医療漢方外来では金沢大学附属病院漢方医学科より医学的専門知識を持ち合わせた漢方専門医による診察ですので漢方療法での腎不全治療(透析・移植が必要な状態にいたる前段階までの治療)が可能です。診察受診を希望する際は必ず事前にかかりつけの腎臓専門医に相談・了承を得てからご連絡下さい。

腎臓についてと腎臓の病気について詳しく知りたい方は一般社団法人日本腎臓学会HPへ
https://www.jsn.or.jp/global/general/sassi_3201.php